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2017年7月29日 ブログ, 不動産コラム

相続と成年後見

【 ケース1 】
 本人の状況:アルツハイマー病
 申立人:妻
【 概要 】
本人は5年程前から物忘れがひどくなり,勤務先の直属の部下を見ても誰かわからなくなるなど,次第に社会生活を送ることができなくなりました。日常生活においても,家族の判別がつかなくなり,その症状は重くなる一方で回復の見込みはなく,2年前から入院しています。
 ある日,本人の弟が突然事故死し,本人が弟の財産を相続することになりました。弟には負債しか残されておらず,困った本人の妻が相続放棄のために,後見開始の審判を申し立てました。  家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始され,夫の財産管理や身上監護をこれまで事実上担ってきた妻が成年後見人に選任され,妻は相続放棄の手続をしました。
※出展:最高裁判所「成年後見関係事件の概況」

【 ケース2 】
被後見人が相続人となっている遺産分割の協議(後見人が相続人の一人ではない場合)
【 概要 】
 被後見人が相続人となっている遺産分割の協議にあたっては、後見人が被後見人を代理することになります。 その協議にあたっては、原則として、被後見人が最低でも法定相続分を取得できるようにする必要があります。
 遺産分割協議においては、被後見人の権利を守るため、原則として法定相続分を確保する必要があります。勝手に放棄をしたり、不当に少ない取り分で協議に応じたりすることは基本的に許されません。 相続人の間で意見がまとまらず、遺産分割協議が一向に進展しないような場合には、家庭裁判所での調停を利用する方法があります。
親なき後のこと

 精神障がい者や知的障がい者のお子さんがいるご両親の中には、「もし、自分たちがいなくなってしまったら・・・」と考えている方が多いかと思います。
 将来のこととはいえ、親なき後、お子さんの為に財産管理をどのような方法で行うのかを考えておく必要もあるでしょう。
 通常、ご両親が若いうちは、なんとか頑張れると思いがちですが、年月が経過し、高齢となり、自分達の将来も不安になる中、「自分たちに何か起こったら、子の財産管理をどうすればいいのか。」という不安も大きくなってきます。
 例えば、一方の親が亡くなってしまった場合など不測の事態が発生した場合に備えておくことも大切です。  子の障がいの程度にもよりますが、成年後見制度の利用が「親なき後」の問題を全て解消するわけではありません。子の「自立」も同時に考えて行かなければなりませんが、ここでは成年後見制度の利用について述べていきます。

法定後見制度の利用
(1) 子が成年者で「意思決定能力がない」場合、法定後見制度を利用するしか方法はありません。
両親が健在であっても、第三者を成年後見人とする利用は可能です。不安な要素を1つ解決できると思います。安心材料が1つ増えるとも考えられるでしょう。当協会であれば、お子さんの年齢が若い場合でも、法人後見として長期にわたって後見することが可能です。個人だと、お子さんより年上の後見人が一生財産管理を行うことは難しいでしょう。

(2) 親が成年後見人に就任する場合(親族後見)
まず、親が成年後見人に就任し、信頼できる人に後任の就任をお願いしておくという方法もあります。親御さんが亡くなってしまわれた場合に、家庭裁判所へ後任の後見人選任の職権発動を促す申立てを行ってもらい、親の意向を家庭裁判所に伝えてもらうというのも一つの方法です。しかし、家庭裁判所が親が考えていた後任の方を選任してくれるか?実際に頼んでおいた方がすぐ動いてくれるか不安要素は残ります。

任意後見制度の利用
(1)子が成年者で意思決定能力がある場合
お子さんに任意後見契約を締結する意思決定能力がある場合、任意後見制度の利用も可能です。
(2)子が未成年者の場合
 お子さんに意思決定能力があれば、親の同意のもとに任意後見契約を締結することが可能です。また、意思決定能力がない場合であっても、親が親権者として子を代理し、任意後見契約を締結する方法も考えられます。  お子さんの年齢を考え、その後を思うと1人の専門家と任意後見契約を締結することが安心かどうかも考えなければいけません。後見人になる者が20代の若者ならともかく、通常は、後見人が先に死ぬことは明らかです。当協会を含め、信頼できる法人と任意後見契約を締結することが望ましいと考えます。通常の法人であれば、複数人の専門家が所属しているはずです。 (実際に任意後見契約の効力が生じるのは、子が成人となってからとなります。子が未成年のうちは、親または未成年後見人が子の財産管理を行うことができるので、任意後見を開始する必要はないと考えられるため、任意後見は開始されません。つまり、家庭裁判所に申立てをしても任意後見監督人は選任されません。)