前回の記事で、最低賃金が1000円になって起こることの続きをご紹介します。
経営体力のない企業の退出を伴う形であれば、最低賃金の引き上げは賃金を上昇させ、
その分だけ消費を拡大させる効果を持つでしょう。
一方、政府による賃上げ要請に代表されるように、名目上の賃金を一斉に上げるという施策の場合には、
あまり効果を発揮しない可能性があります。
賃上げを余儀なくされた企業は、従来の利益水準を維持するため、製品価格に賃金上乗せ分を転嫁します。
賃上げから少し遅れたタイミングで物価が上昇するするので、名目上の賃金は上がっても、労働者の実質的な賃金は変わらず、
賃金上昇を過度に進めれば、単にインフレが進むだけで、実質的には何も変わらないでしょう。
最低賃金を引き上げ、経営体力のない企業を市場から退出させれば、賃金は確実に上昇します。
しかし経済圏全体で合理化が進むので、同じ業務をより少ない人数でこなせるようになり、雇用の減少明白にとなり、いきなり最低賃金を1000円まで引き上げれば、地方を中心に多くの雇用が失われることになります。