中国アリババグループ(阿里巴巴集団)が金融子会社アントファイナンス、仏保険・金融グループ、アクサ(AXA)と提携し、「国際eコマース保険サービス」を開始する。
ZUU online 8月2日(火)11時10分配信
このサービスはアリババの国際マーケット「アリエクスプレス(Aliexpress)」に適用され、顧客が購入した商品がAXAの保険でカバーされるというもの。また「Alibaba.com」で同様のサービスを、小売業者向け保険として採用することも検討している。
3社は保険サービスのほか、今後様々な角度から消費者や市場の需要を分析し、革命的な商品開発に向けて協力しあっていく姿勢だ。
■商品、支払いの保証から海外旅行保険まで
AXAが7月29日にWebサイトで公表した情報によると、提携関係による合同プロジェクトは現在初期段階。
AXAはAliexpressで仕入れを行う業者向けに、商品の保証延長や修理関連のサービス、オンライン支払保証のプレミアムサービスなどを提供する予定だ。
またアントファイナンスを通して、中国の消費者に海外旅行保険商品の販売も企画している。
これらの商品は各地域の消費者の需要に合わせて、基準調節が行われるそうだ。
AXAのトーマス・ブベールCEOは、アリババを「最も進んだ企業」と絶賛。今回の提携関係で、AXAが「ユニークな国際的な直販チャンネル」へのアクセスを得て、新たな事業チャンスを拡大できるとの期待を膨らませている。
また中国保険市場における自社の位置づけを、アリババを通してさらに強化できるという点も非常に大きな魅力のはずだ。
AXAは世界56カ国に1億人を超える顧客を持つ、巨大国際保険会社。2013年に中国の不動産保険会社、Tian Pingの50%の株を4億8500万ユーロ(約552億8507万円)で買いあげ、中国最大の保険会社の座におさまった。
昨年の総収益は990億ユーロ(約11兆2850億円)。実質、信用ともに、アリババと並んで中国市場を牛耳る底力を誇る。
■国際チャンネル強化を狙うアリババ
一方「阿里巴巴(Alibaba.com)」「天猫」「淘宝網(Taobao.com)」など、複数のマーケットプレースを精力的に運営するアリババは、中国の消費者にとってはカリスマ的存在だ。
2010年に海外通販専門サイトとして立ち上げた「Aliexpress」は、商品自体の価格が安いというだけではなく、多くの商品が送料無料、時差に関係なくチャットラインでストアに問い合わせが可能、商品売買に関する保護制度など、消費者が喜ぶサービス満載で瞬く間に人気に火がついた。
しかし一部の海外消費者の間では、コピーブランドや商品の受け取りを懸念する声があがっており、アリババのマーケットプレースが、「消費者にとって安全な場」であることを証明しない限り、さらなる国際化の野望の足かせとなりかねない。そうした点でも、AXAのブランド力は強力な効果をもたらすだろう。
子会社アントファイナンスの影響力もあなどれない。アントが運営する「Alipay」は、中国オンライン決済市場の半分以上を独占する驚異的な決済ブランドで、今年に入って欧米への進出で話題をさらった。
国際化戦略の一環として、昨年社長に任命された元ゴールドマン・サックスのパートナー、マイケル・エバンス社長は、「急成長中のeコマース市場において、サービスの向上に努めることは不可欠である」とし、両社の提携が「新たなソリューションの創出と顧客経験の改善にプラスとなる」という希望を抱いている。
アリババグループのサービス・ユーザーは年間4億2300万人を記録。2016年3月期の純利益は156億9000万ドル(約1兆6011億円)と報告されている。
アジアと欧州を代表する2大企業の提携が、eコマースの新たな事業モデルとなりそうだ。(FinTech online編集部)